明治の歴史的建造物である 上野の
東京国立博物館 表慶館でこの展覧会は行われています。
1847年以来「創造の歴史と伝統を映し出した1370点以上のカルテイエ・コレクション」の中から、選ばれた276点を「Story」をテーマに プロダクトデザイナー・
吉岡徳仁が監修。
体験した事の無い歴史と未来というふたつの未知を旅する...という人が感じたいことをカルテイエジュエリーのストーリーを通して、実現させています。
マハラジャ、ハリウッドスター、政治家、芸術家たちが愛した、カルテイエのジュエリーは、職人の手仕事により、一つひとつその魂が吹き込まれ、身に纏うその所有者の人生そのものが、エネルギーとして更なる輝きを得て、オーラを発していた。
アメジストのブローチはジャック=カルテイエが妻へ贈ったもの。
石の一つ一つに彼の家族への愛を象徴した意味を持つ。
時間や歴史、文化そのものが、カルテイエの美しさだと、吉岡氏は語る。
女優マリア・フェリックスが愛したクロコダイルのネックレス。
たくさんの爬虫類のジュエリーを身に纏い、「もしも私のような女性がこれらのものを身につけなかったら、いったい誰が着けるのかしら?」とマリアは皆に問うた。
「実のところ、とてもポケットから懐中時計を取り出して、時間を見る余裕がないんだ。」飛行家サントス=デユモンの言葉が忘れられなかった、ルイ=カルテイエが彼の為に生み出した、腕時計「サントス」の誕生の物語はあまりにも有名。
ジャン=コクトーの剣
自らのデザインで、オルフェウスの横顔が象られ、友人シャネルから贈られたエメラルドがあしらわれている。
私にとっては、7年前パリ・ポンピドーセンターで行われたコクトー展から、2度目の再会。これは、私のストーリー。
「Story of... カルテイエクリエイション/めぐり逢う美の記憶」
黒で統一された歴史のストーリーの展示室から、一転 吉岡氏のデザインした香水ボトルの展示で未来のカルテイエを、香りと白い空間が締めくくる。
「Story of...」のコンセプトがみごとに完結されている。
3時間でも足りない。
作品は、芸術であり、カルテイエの精神、身につけた人々の人生のストーリーを知れば知るほど、更に奥深く入り込んでしまいたくなった。
「功名なるマジシャン、カルテイエは太陽を紡いだひとすじの糸に 月をかけらにしてちりばめる」
ジャン=コクトー
2009 .4.18 の月